プロローグ (ケラスQueyras と ヴァノワーズVanoise について)



【ケラス山域 Queyras】

ケラス山域はアルプスの南端、フランスとイタリアの国境沿いに位置し、自然公園にも指定されている。ヨーロッパで最も標高の高い町サン・ヴェラン(2020m)を代表として、この地方独特の町や村が点在している。
年間日照時間が約300日というこの地方では農業や放牧地帯で、農作物はもちろんのこと、チーズ、ハチミツ作り、木工彫刻が盛んだ。山の斜面をうまく利用した家々や、燦々と注ぐ太陽を取り込むベランダはとても印象的。


南アルプスであるケラスは、北アルプス(モン・ブラン山群やヴァノワーズ山群等)に比べて山々は荒涼とした感じがするし、岩肌も薄茶色で、山によっては砂漠のような印象さえする。地中海性気候の影響を受けていることから空気は乾燥しており、岩がもろいため登攀に向いた山は少ない。とはいえ標高1500m位まではから松が茂り、滝や湖も豊富だ。もちろんここでは氷河や夏の雪渓は存在しない。
ケラスはトゥール・デュ・モン・ブラン(TMB)、トゥール・ドゥ・ラ・ヴァノワーズと並びトレッキングのメッカだ。このトゥール・デュ・ケラスは蜂の巣のようにルートがいくつもあるので、体力と時間に合わせて自分のルートを選ぶことができる。

全体的に標高1500mから3000mに位置するケラスは、その標高の高さから「ニワトリが星をついばむ国」と言われている。鉄道もバスもアクセスがない奥地だが、山歩きはもちろんこの地方の文化も楽しめる山域だ。

山の斜面のスーリエ村 Souliers 各家石造りだがベランダだけ木でせり出している
砂漠のような山 標高下から上へから松(写真にはないが)、草地、砂利、岩




【ヴァノワーズ山群 Massif de la Vanoise】

フランスでいち早く国立公園に指定されたヴァノワーズは夏は登山、冬はウィンタースポーツが盛んだ。1992年にアルベールヴィル・冬季オリンピックが開かれこの山域も会場になったため、ヴァノワーズの名をなんとなく聞いたことがある人もいるかもしれない。周りにはクーシュベル、メリベル、ラ・プラーニュ、ティーニュといった名だたるスキー場がひしめいている。

ヴァノワーズ山群は、美しい自然と野生動物の宝庫だ。山を歩いていると高山植物が所狭しと咲き、マーモットや白テン、カモシカに出会うことができる。またヴァノワーズでの山歩きの中心地、プラロニャンのシンボルマークにもなっている野生ヤギ(Bouquetin)の群生を見れるのもここならではだろう。

主峰グランド・カッス(3852m)をはじめとし3000mを越える山は30以上、ヨーロッパで最も大きな天蓋氷河(普通氷河は標高の高いところから低いところに落ちてきて先端は細くなっているが、この氷河はいくつもの山頂のプラトーに帽子のように横たわって乗っかっている、長さ約11km、幅約3km)がある。
ヴァノワーズの山の特徴は、麓の町や村からの傾斜は急で山の稜線がそびえているように感じるが、一旦標高を2000m位まで上げてしまえば、そこから上に伸びるルートはわりとなだらかだ。従ってトゥール・ドゥ・ラ・ヴァノワーズも2000から2500m位の間を歩く標高差の比較的少ないトレッキング・ルートだ。山上の湖や滝を見ながら歩くのはきっと気持ちいいに違いない。

山と野生動物と高山植物の三拍そろったヴァノワーズは自然を120%堪能できる山域だ。

ヴァノワーズ国立公園入り口のプレート 周りを山に囲まれたプラロニャンの町
標高2100m、氷河から流れ出す川 8月、この時季丸々と太ったマーモット



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