エギュイエット・デ・ポゼット Aiguillette des Posettes (2201m)


3月1日 曇り



この山はシャモニの谷をY字に分けるその分け目に鎮座しており、左に分かれた谷はスイスまで続き、右側はル・トゥールで行き止まりその先はバルムのコルとなります。
東側あるいは西側から見た長く平らな山頂からの稜線は、針峰の多いシャモニにあっては個性的ですが、北側や南側からは山容は一変して山頂まで一気にそそり立っている、細長い◇型の山です。1978年にはこのエギュイエット・デ・ポゼットからの雪崩のため麓のル・トゥール村が大きな被害を受けたという歴史もあります。

出発地点標高 ル・トゥール le Tour 1453m
到着地点標高 エギュイエット・デ・ポゼット Aiguillette des Posettes 2201m
標高差 登り、滑走とも 748m 
地図 IGN 3630 OT








昨日のダールのコルの強行雪中軍行の疲れが少し残っている上に、今日も天気が悪いと分かっているのでモチベーションが今ひとつ上がらない。今回は本当に天気に見放されてしまった。降水確率0%のところをどしゃ降りの雨にした経験のある私のせいなのか、4日前の週間天気予報では今週は晴れの天気が続くといっていたのに・・・。では天気の悪いシャモニを脱出してスイス側へ行こうと、シャモニとスイスのマルティニを結ぶモン・ブラン・エクスプレス電車に乗り、仏側国境の町ヴァロルシーヌVallorcine で下車、ここでテレキャビンに乗る。
今日もガスがかかっていると共に小雪混じりの風が吹いている。スイス側を見てもただただ真っ白で何も見えない。しかたなくスキーを担いでバルムのコルまで登り始める。この辺りはフランスとスイスの国境が入り組んでいてバルムのコルがフランスとスイスの国境だ。バルムのコルはゲレンデ・トップであり、ここからピストをフランス側に降りてまた電車でどこかに移動するか、オフ・ピステを楽しむか考えあぐねていたら、にわかにエギュイエット・デ・ポゼットの方がガスが晴れているような気がした。一同相談の上、ピストをル・トゥールまで降りて、早速ポゼットに登ることに決まった。

出発はル・トゥールの駐車場脇で、早速ビーコンを確認しシールとスキーアイゼンを装着。ル・トゥールのゴンドラ乗り場の掲示板には-15度とあったので、また標高を上げればもう少し寒くなるだろう。

10時と遅い登行開始。登り始めは雪も深くなく、中傾斜で快適。トレースはない。この斜面は全体的に急なせいか割と木が少ない。だがそのせいで風をもろに受けるので向かい風だと前進するにもついついうつむいて、気がつけば自分のブーツしか見ていなかったりする。そしてやはり風のせいで雪煙が舞いあがっている。1時間くらい登行しただろうか、森林地帯を抜けたため途端に更に風が強くなった気がする。昨日に引き続き風に悩まされる訳だ。
一人が「喉が乾いた〜」と休憩を要求。吹きっさらしの斜面ではあったがここで小休止。テルモスの暖か〜い紅茶がみんなに回される。臓腑に染み渡るとは本当にこのことだと実感した一瞬だった。雪面は良好、スキーアイゼンをここで外す。
次第に雪が深くなり、交代でラッセル登行する。木は無いため白い斜面だけが上へ上へと続いている。
天気はガスがかかって真っ白になったかと思えば、時たま晴れて周りの景色が見えたりもする。この見えた瞬間に山頂を確認するわけだ。

こんなに寒くても喉は渇くもの
水分補給休憩です
途中にある雪崩止めフェンス

昨日に引き続きひたすらジグザグ登行の連続。そこでリーダーが教えてくれたのが疲労半減方向転換。下の図左のように鋭角にターンの足を置くと、谷川を足を山側の足に揃えるのが大変。が一旦両足を平行に傾斜に対して垂直に揃えコンヴァージョンする方が楽で足への負担が少ないという。


12時15分、ようやく山頂に到着するも視界は開けない。それでも登行中よりかはうっすらと周りの山容が見え始めている。こんな天気なのですれ違う人も全くいなかった。ここで再び水分補給をし、手早くシールをはずし滑走準備。やはりみんなこの瞬間を待っていてのね、踊るように深雪に飛び出していくので私も遅れじと降り始める。雪は膝下くらいまでのちょうどいいふかふか雪。天気が悪いと眺望は無いけど雪質はいいので良しとしよう、なんて思っているのもつかの間、みんな立ち止まって下をじっと眺めている。どうしたのどうしたの?どうやらここから下までは割と急斜面で、しかも表面がさざ波のようにささくれ立ったカチカチ雪になっていた。そろーりと1人、2人と降り出すが難儀している。私も滑り出すが、全くの氷の上を滑っているよう。平らなアイスバーンやアイスこぶ斜ならともかく、アイスうろこ斜とでも言おうか、ターンするたびにものすごい音でこの氷のおうとつをなぎ倒していく。時にはターンが負けてしまい、足がすくわれる。疲労と空腹で思うように足も踏ん張れずにまさしく七転八倒(三転四倒くらいかな)しながらようやくスキーリフトの見える地点まで戻って来た。
ここからは平らなカリカリバーンとなりひと心地つく。滑って降りていくうちにみるみる麓が近づいてくる。

山頂からは眺望なしでした
ここが難儀したカリカリアイスうろこ斜面
降りる頃には視界が良くなる
シャモニ、モン・ブラン方面
ようやくスキーリフトが見え始めホッとする

2時10分に出発地点のル・トゥールに戻った。とにかく空腹だったので、スキーゴンドラに1本乗り、ちょうど上がったところにあるレストハウスでサンドイッチを食べさせてもらう。
今日の反省点はあの斜面。ああいった斜面ではカービング小回りよりもカービング中ターンの方がよかったのだろうか?ずらせないことは確かだから、もうちょっと両足のスタンスを広めにとって小回りか?
ええ〜い、やっぱり練習だ!と午後の残り時間をみんなでゲレンデの練習に当てたのでした。



 





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