トゥール・デュ・モン・ブラン Tour du Mont-Blanc (TMB)


トゥール・デュ・モン・ブラン(TMB)とはモン・ブラン山群一周約160kmを数日かけてトレッキングすること。(詳しくはアルプス見聞録のトゥール・デュ・モン・ブランを参照下さい)。
いつかは歩いてみたいなぁ、と思っていたルートです。
ルートはノーマルルートと、途中数ヶ所あるヴァリエーションルートがあり、ヴァリエーションルートは夏雪のない時期や天候の良い時に通る、標高が少し高くノーマルルートより距離も短いルート。今回はノーマルルートを取ります。

【出発まで
通常TMBに適した季節は6月中旬から9月上旬で、それでも7月上旬くらいまでコルには雪が残っているというし、9月上旬であれば早雪が降り始める。
私が歩こうとしているのは5月中旬から下旬で、まだ山では雪をかぶっている時期。早速情報収集し始めるものの、例えばツアーの場合だとほとんど6月下旬から8月下旬で日程が組まれているし、この時期にTMBしたというレポートも見つからなかった。ということはもちろんトレースのない雪上を歩かなければならず、そのためには雪山の装備が必要になる。しかもほとんどの山小屋もまだ閉まっている。食料、テント等家財道具一式を背負っていかなければならない・・・う〜ん、かなり迷った。しかも追い討ちをかけるかのように4月に入ってもアルプスでは雪がふった・・・。気候のほうは町であれば日中はもう15度はあるが、標高2300mで-5度ほど。
私結構寒いのだめなのよね・・・。
一周は通常雪のない時期で、途中交通機関を利用しなければ9日位かかる。時期が時期なので、順調に歩ければ9日間、完全に一周しなくてもかまわない心づもりでここは取りあえず現地に入ってみて、雪の状況を見て判断しようと思う。

【準 備】
先ずは食料。山小屋が閉まっているし、小さな村を通過するもののハイシーズン外なので食料品店が開いているとは限らない。そこを考慮に入れて食料計画を練る。
左列から
スニッカーズ、フルーツバー、エネルギーバー、シリアルバー
キャラメル、リンゴコンポート、板チョコ
コーヒー、インスタントラーメン、ワッフル
カップスープ、
コッヘル等、リゾット、フリーズドライ食品、ツナ缶
私のお気に入り、中国産出前一丁
これは鶏肉味で、他に牛肉味、豚肉味、海老味、シーフード味、カレー味、豚骨味、鴨味、激辛味とラインナップ豊富
次に装備。普段の装備プラス雪山の装備、ピッケル、アイゼンを入れる。野宿になるので軽量小型テントとシュラフ。ウェアは夜間、明け方と寒くなるので防寒対策としてフリース2枚と防寒アンダーウェアーも持つ。これら諸々まとめてザックは約24kgな〜り。

【情報収集】
5月16日夕方シャモニ入り。思ったより気温は高く天気もいい。
翌日17日、早速山の家へ行き雪崩と向こう1週間の天気予報チェック。幸い雪崩の危険性はなく、今後1週間の天気も安定している。ガイド組合でコルの雪の状況を聞いてみたところ・・・「えっ、TMB?まだコルには相当雪が付いているから難しいと思うよ。それよりかはレマン・モン・ブラン(ジュネーブのレマン湖からスタートしモン・ブラン山群に至るトレッキングルートで標高はTMBより低い)にしたら?」、「・・・」。いきなり脳天ガーン、です。まあ雪がないとは言わないまでも何とか通過できるかなと淡い期待をしてたのに。

ただTMBのメリットは、完全に山中に入ってトレッキングを続けるのではなく、途中に村々があり、引き換えしたりできることだ。
午後出発することに決める。もし厳しいようであれば行けるところまで行き、シャモニに戻ってこよう。





1日目 5月17日 晴れのち雨 : レ・ズーシュ les Houches 〜 シャンペル Champel

通過ポイントと標高 距離(km) 累計距離(km) 所要時間
レ・ズーシュ les Houches 1004m - - -
ヴォザのコル Col de Voza 1653m 4.3 4.3 1時間30分
ビオナッセイ Bionnassay 1314m 2.1 6.4 20分
シャンペル Champel 1205m 5.4 11.8 1時間30分
1日目歩行距離 - 11.8 -




午前中は情報収集に当てたので、午後から出発。
1時30分シャモニの隣町、レ・ズーシュから時計とは反対周りにスタート。先ずレ・ズーシュの教会まで行き、そのまままっすぐ歩いていくとベルヴュ・ゴンドラ乗り場に着く。そこを通り越してすぐ左側が登山口。

登山口
次の通過ポイント、ヴォザのコルまで1時間40分と書いてあった

登り始めは道幅も広く、ヴォザのコルまでは途中村々があるので車も通れるほど。気温は17度、陽射しがあるのでしばらくするとうっすら汗ばむ。道脇に高い木があると木陰を作ってくれてホッとする。

次第に出発地点のレ・ズーシュの町が低くなってくる
白く雪をかぶった山々がモン・ブラン山群
途中にいたお母さん羊と子供たち
顔が黒い羊と白い羊では鳴き方が違うことを発見した

(知ってた?)

通過した村々の家(シャレ)は住んでいる人もいたが、大半は別荘らしく、鎧戸が閉まっていた。こんな所に別荘が持てるなんていいなぁ。そう、何を言おう私の夢は宝くじ当選→山の麓で民宿開業なのだ。
道はいつまでも幅広く歩きやすく、冬のスキーリフトの下を右に左にくぐりながら登っていく。ただ初日でまだザックの重みに体が慣れていないので結構きつく感じる。やっぱり20kg超えて体重の半分(ちょっとサバ読みすぎ)となると重いなぁ。

ようやくヴォザのコルに到着。ここはル・ファイエという麓の町が始発のアプト式モン・ブラン電車の停車駅でもある。そして電車はニ・デーグルとうい2372mの終着駅まで延びている。夏にはモン・ブラン登山者で溢れるが、この時期は運転されてない。
ヴァリエーションルートはこの後トリコののコルを目指して登りますが、私はノーマルルートのビオナッセイを目指す。2つのルートはこの後コンタミンで再び合流する。

モン・ブラン電車の停車駅、ヴォザのコル駅で

道はここから少し下り坂。ヴォザのコルに宿泊所があるせいか、こちらの道も車が通れる幅。風景もシャモニの谷に別れを告げ、その西にあるモンジョワの谷が見え始める。

こちらはモン・ブラン山群側
こちらがモンジョワの谷側
正面はモン・ジョリ 2525m

そしてビオナッセイ村が見えてきた。
かつては90世帯もが住んでいたというこの村は今ではひっそりしてる。1784年からモン・ブラン征服遠征隊の出発基地になったという由緒ある村だ。

ビオナッセイ村

村に入ると、少々分かりづらいのだが石造りの小さな教会があり、その脇の小道を通りさらに下っていく。この教会手前に「通行禁止」というような立て札があった。地図で確認してもTMBルートは確かに教会脇の道を通り渓流まで下っていってる。???と思いながらも通り過ぎたが、後になってその意味が分かった。

渓流に突き当たる
そこには頼りない板が岩の上に乗せてあるだけ
他には橋はなく、水の勢いもあるし結構深い

渓流に突き当たり、周りを見渡すが橋がない!細い板が岩に乗っているが、両端を支えている岩は滑って板を固定してはいない。何より重いザックを担いでいるのにここを渡れば真ん中でしなって川に浸かってしまうか、しなったため板の両端が岩からずり落ちてしまう。どこかもっと川幅が狭いところはないか、橋桁になりそうな岩がないかいろいろ試行錯誤したが無駄だった。
おそらく夏であれば水量が少なく岩を伝って渡れたりするのだろうが、この時期は雪解け水が大量に流れてくるので水量が多いのだろう。
これは痛い。ここが渡れれば次のシャンペルの村までは近いのに、渡れないとなると再びビオナッセイまで戻り、車道を歩いてシャンペルまで行くしかない。倍の距離だ。1時間近くも何とか活路を見出そうとしたため時間もロスしてしまった。泣く泣くビオナッセイに引き返すことに決める。

災難は続くもので、雨が降り出してきた。山を歩くのと違って車道歩きとはなんと長く感じることか!しかも1日目の野宿場所も探さなければならない。

退屈な車道歩きを1時間半近くも続けた後、ようやくシャンペル手前の林道にさしかかり、車道からは見えない手ごろな平らな空き地を見つけたので、ここを野宿地とした。ちょっとジメジメしてるが木のお陰で雨と風を防いでくれた。

8時夕食、10時就寝。

翌朝撮影した野宿地の林



  2日目も見てみる





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