トゥール・デュ・モン・ブラン Tour du Mont-Blanc (TMB)


4日目 5月20日 晴れ : ボンノムのコル Col du Bonhomme 〜 モッテ小屋 Refuge des Mottets


通過ポイントと標高 距離(km) 累計距離(km) 所要時間
ボンノムのコル
Col du Bonhomme 2329m
- 28.4 1時間
クロワ・デュ・ボンノムのコル
Col de la Croix du Bonhomme 2479m
1.5 29.9 1時間20分
ボンノム小屋
Refuge de la Croix du Bonhomme 2433m
0.3 30.2 5分
シャピユー Chapieux 1549m 5.2 35.4 2時間25分
グラシエ村
la Ville des Glaciers 1789m
4.0 39.4 1時間15分
モッテ小屋
Refuge des Mottets 1870m
1.4 40.8 40分
4日目歩行距離 12.4 40.8 -








今朝は何としても早く起きて、雪が締まっているうちにコルを越えなければならないという緊張感からか、それとも寒さのせいなのか朝7時過ぎに目が覚める。(これでも遅いんだけど)
テントから出て冷たい朝の空気を吸ったらいっぺんで目が覚めた。手早く朝食を取り8時30分出発。

モンジョワの谷方面を振り返る
やや、コルにはすでに陽が射しはじめている!

コルには陽が差してしるので急いで歩く。幸い雪はいい具合に締まっているのでアイゼンを着けて、昨日コル直下から引き返したので残っているトレースを再びたどる。
急斜にとりかかる。夏のルートはどうなっているのだろうか。きっとジグザグにスイッチバックで登るのだろうな。ここは直登する。やはり雪が締まっていたほうが登りやすい。それでも膝までもぐる時があった。取り付いてから40分後、コルへ到着。

登り途中で振り返ってみる
ボンノムのコルにある避難小屋
ただし扉なし

やはり昨日頑張ってコル越えしなくてよかった。コルにはビバークに適した場所はなく、せいぜいこの扉なしの避難小屋があるくらい。しかも中にはベンチが備え付いているので足は伸ばして寝れない。
さて、次に目指すクロワ・デュ・ボンノムのコルは・・・どうも地図を読むと、少し登って山腹をトラバース。ってこの山腹、急斜のうえに100m以上切れ落ちてる〜。足滑らせたらどうするのよ〜。夏ルートでも破線になっているし。とちょっと気弱になってみるが、慎重にステップ切って行けば大丈夫でしょう。と気を引き締めてスタート。

避難小屋から少し登って・・・
トラバース開始

多分距離にして100mほどのトラバースだったと思うが、やたら長く感じた。雪が重いから大丈夫とは思うものの、こうしたトラバースは雪崩を誘発しかねないから本当はしないほうがいいな。2つのコル間の距離1.5km、夏だと50分のところを1時間20分もかかった。ホッとした時にクロワ・デュ・ボンノムのコルを示すケルンが見えた。

クロワ・デュ・ボンノムのコルの立派なケルン
これって崩れないのかしら?

さて、このコルは実は偽のコルなのです。本物のコルはというと、300mほど南にある、ボンノム小屋が建っているところが本当のクロワ・デュ・ボンノムのコル。これは第2次世界大戦前に、道路地図を作成したミシュラン(タイヤのミシュラン社)が間違ってここをコルであると表記したために、今でもここがクロワ・デュ・ボンノムのコルとして定着してしまったらしい。だがよくフランス国土地理院の地図を見ると、やはりコルはボンノム小屋のところになっている。

で、こちらが本当のクロワ・デュ・ボンノムのコル

ここからもかなり深雪だ。ただしこれからは下りになるので少しは楽だろう。
道(といっても雪で見えないが)を左に取るとTMBヴァリエーションルートで、更に2716mのコルを越える。まっすぐ下ってシャピユーの村に出るのがノーマールルート。
フランス山岳協会(CAF)の山小屋は大変大きく、110人収容。夏にまたゆっくり来てみたいなぁ。

雪が深い上に、陽が上がって雪が融けだしてきたので重いことこの上なし。腿までもぐり、泳いでいるんだか、もがいているんだか、ずりおちているんだか、とにかく引力にまかせてずいずいと下る。ルートを間違えないように時たま地図で地形を確認する。
標高2000m位まで降りたときに雪がなくなってきた。こちらは南側斜面だから雪解けも早いのかもしれない。アイゼンをはずして付いた泥を雪で洗う。そして途中にあるアルパージュ(高山天然牧場)で昼食にする。13時。

標高2000mあたり
雪がまばらになってきた
こんな花や、 こんな花も咲いていた

ここからシャピユーの村までは天気もいいせいか、完全なな夏山登山の様相だ。途中に花も咲いている。スミレやリンドウや(私が知っているのはここまで)その他いろいろ、いろりろ。きっと7月にはここの斜面は南向きで日当りもいいし百花繚乱になることだろう。
この南向き斜面をひたすらシャピユー目指して降りていく。道は広くなりジグザグに降りていく。

道がシャピユーの村に入るちょうど入り口に「ノヴァ Nova」という山小屋・レストランが営業していた。そこは中庭にテラスがあって、結構な人が日光浴しながらビールを飲んでくつろいでいる。つまりようやく雪中行から開放され、下り降りた目の前で皆がおいしそうにビールを飲んでいる光景が、否が応でも目に入ってしまうわけだ。
絶対、絶対、ここで止まらない人はいないと思う!

おいしかった〜プハッ!

ここのマダムに聞いたところ、今年はイタリア側では雪は少ないとのこと。ということはこれから越えるフランスとイタリアの国境、セーニュのコル(2516m)では、今越えたボンノムのコルほどは雪に苦しめられないかもしれない。うれしいニュースにビールもすすむ。
マダムは「今年は5月9日に通ったブラジル人が最初のTMBだったんだけど、テント持たないで周ってたのよね。最初のフランス人はあんたよ。がんばってね!」
「はいっ!!(わたしどう見てもアジア人顔だけど)」

ここでトイレをお借りして、水も補給させていただいて、次のグラシエ村に向かう。
シャピユーの村には公共交通はまったく無く、シャピユーとグラシエ村間も7月15日〜8月20日は車の通行が禁止されている。そのかわりナベットが運行されているという。

シャピユーを後にする
約4km先のグラシエ村に向かう道、車道です
車で通りかかったおじさんに「TMBか、頑張れよ〜」と激励を受けた
「頑張るよ〜」
グラシエ村が見えてきました
背後の山はグラシエ針峰(3816m

グラシエ村は夏の間だけ牧畜をつれて畜産農家が住む集落のようで、この時期は住民はいないらしくひっそりしていた。コルで別れたヴァリエーションルートとはここで再合流する。礼拝堂の横の道を右に曲がり川を渡って、左岸をまっすぐ歩いていけばモッテ小屋に着く。17時着。
陽がまだ高いのでテントとシュラフを乾かす
。明日はいよいよ国境越えだ。
7時夕食、9時就寝。

穴から出たマーモット、一瞬だったのでよく撮れなかった
今夜の寝床



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