オート・ルート シャモニ‐ツェルマット
La Haute Route Chamonix-Zermatt



2日目 8月29日

アルベール・プルミエ小屋 Refuge Albert 1er 〜 シャンリオン小屋 Cab. de Chanrion


雪のち曇り


出発地点 アルベール・プルミエ小屋 Refuge Albert 1er 2702m
到着地点 シャンリオン小屋 Cabane de Chanrion 2462m
標高差 登り 587m下り 1101m
所要時間 アルベール・プルミエ小屋 Refuge Albert 1er 〜 シャンペ Champex 5時間35分
シャンペ Champex 〜 シャンリオン小屋 Cabane de Chanrion(タクシー) 1時間30分
地図 IGN 3630 OT






4時45分起床、すぐに支度をして5時に朝食。
窓の外を見ると少し雪が舞っている。外に出てみると気温はマイナス6度。小屋の人に聞くと予報では昨夜止むはずだった雪が今朝までずれ込んでいるので時機に止むだろうとのこと。様子を見るために1時間ほど待つことにする。やがて雪は小止みになり、6時15分出発。

今日の行程は先ず小屋を出発してトゥール氷河を登りきり、フランスとスイスの国境でもあるスーペリゥール・ドュ・トゥールのコル 3289m を超える。コルを越えるとその向こうはスイスで、トリアン氷河上に出たら縦断してシャンペの町に出る。そこで予め予約しておいたタクシーでシャンリオン小屋近くまで移動、という予定。

小屋の裏手から岩場を登っていく。岩はベルグラで滑りやすく、しかもヘッドランプの明かりだけを頼りに歩くので足元が少し心もとない。この岩場歩きは20分ほどで、途中からは周りが明るくなりだしヘッドライトを消した。最後に少し下るとトゥール氷河上に出る。ここでアイゼンを履きアンザイレンする。今回ロープを共に結ぶのはステフで、彼女はシャモニの山々やモンテ・ローザにも登っている。
天気が良ければエギュイーユ・ドュ・トゥール Aiguille du Tour 3544m やその周りの秀峰も望めるのだが、残念ながら視界が悪い。前回エギュイーユ・ドゥ・トゥールに登ったときも真っ白で、とうとうその姿も周りの展望も見ず終いだったっけ。

雪は氷河上ではそれほど積もってはおらず、アイゼンの歯がよくかみ込む。右斜めに登っていくとシニャル・レイリィ Signal Reilly 2883m という氷河の海に浮かんだ小島のような岩があるのでそこを右に回り込む。この辺りはトゥール峰からの尾根が伸びておりその下を右方向(南東)へと進む。しばらくすると少しだけ傾斜がきつくなるころ頭上には、天気が回復してきて視界が広がり始めたこともあり、トゥール連峰が見え出してきた。ここを登りきると少しだけ盆地のような場所に出るといよいよコルへの登りの入り口だ。背後にはシャルドネ 3824m が良く見える。コルまでの登りは短いが少し急なので、小休止かたがた水を飲む。さていよいよ最後の登り、ジグザグに登っていくとどんどんコルが迫り、その向こうのスイスの山並みも見えてくる。コル着8時。


アルベール小屋からトゥール氷河までの岩場
アイゼンを履いた辺り
ここからトゥール氷河を登り始める
視界が開け始める
シャルドネ峰 3824m、いつかは登ってみたい
コル直下の登り
コルの岩場
手前がスイス側で奥がフランス側
コルからシャルドネを垣間見る

今までトゥール氷河を登ってきたが、コルを越えるとトリアン氷河に入る。トリアン氷河を見下ろすといくつかのパーティがスイス側から登ってくるのが見える。トリアン氷河はエギュイーユ・ドュ・トゥール連峰とエギュイーユ・ドレ連峰に囲まれて形成されたプラトー氷河でとにかく広い。この国境を挟んだ2つの氷河は地図上で見ると蝶が羽を広げたようで、左の羽がトゥール氷河(フランス)で右の羽がトリアン氷河(スイス)で胴体がエギュイーユ・ドュ・トゥール連峰のようにも見える。8の字を横にした様とも言える。
この氷河上をトリアン小屋の麓まで縦断していく。トレースがついており、ヒドゥン・クレヴァスがあるかもしれないのでトレースをはずさない様に歩く。緩やかに下っていくため周りの風景を眺め楽しむ余裕がある。2人でマッターホルンを探したがさすがに見えなかった。
トリアン小屋の麓まで来ると氷河はその名前をオルニ氷河と名前を変えてさらに下降する。オート・ルートの冬ルート、山スキーでは初日アルジャンティエール小屋に泊まり2日目にこのトリアン小屋に到着する。氷河の左岸を下っていくと、トリアン小屋から1kmちょっとしか離れていないオルニ小屋へと着く。ここでしばし休憩する。

初日は天気が確実にもち、早出すればアルベール小屋に泊まらずトリアン小屋かオルニ小屋まで来ることも可能だ。早出する場合はバルムのリフトが動いていないのでトゥールからアルベール小屋まで登りさらにコルまで約1700mは少しきつい。リフトを利用して登るとアルベール小屋を通過しコルまではいいが、トリアン氷河を午後通過するのは少し危ない。1日目にアルベール小屋に泊まっても、トリアン小屋(あるいはオルニ小屋)に泊まっても2日目にはシャンリオン小屋泊は変わらないのだから、1日目を短くするか2日目を短くするかの違いだ。


トリアン氷河と遠くヴァリス山群
トリアン小屋(左山頂の右下)
オルニ小屋とスイス国旗とブクタン(シュタインボック)
小屋の前のブクタン(シュタインボック)
実はこれ、銅像です

オルニ小屋からシャンペの町まではハイキングコースにもなっており道がしっかりしている。しばらくはガレ場が続くが、しばらくすると緑が見え始め、山腹を巻きながら下っていく。朝から白い世界にいたためか、緑がとてもまぶしく感じる。特に霧雨が降っていて、葉が濡れているから余計にそう思えるのかもしれない。
シャンペへはグラン・プランからリフトがかかっており、688mの標高差を座って下ることができる。

シャンペへは11時50分に到着。ここで予約しておいたタクシーを待ちながら昼食にする。タクシーはお願いした時間に来てくれた。さすがスイス!運転手さんはいろいろスイスのことや地域のことを説明してくれているがそれはステフに任せて私はちょっとうたた寝をする。町を離れたタクシーはモウヴォワザン湖畔を通り、シャンリオン小屋の近くまで行ってくれた。暖房のきいたタクシーのお陰で体が温まった。

小屋で荷を降ろし宿泊手続きを取ったりしてもまだ3時だったので眠くはなかったが昼寝をする。
夕食で食堂に下りていくと、フランス人グループとテーブルが一緒になった。彼らもオート・ルートを歩いているという。明日からのルートをお互いに地図を広げて語り合い、そしておいしい夕食にありついた。


オルニ小屋からの下り道
左下のほうに町が見える
雨が降っているもののやはり緑のある道は気持ちがいい
シャンリオン小屋
しっかりした石造りで中は暖かかった
シャンリオン小屋のドミトリー
小屋の窓から
今日は1日こんな天気でした






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